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2011年3月8日火曜日

軍艦マンション/ニュースカイビル

「建築材料」1969年9月号より
西新宿にあるニュースカイビル(1970年竣工)は、通称「軍艦マンション」と呼ばれ、建築家/渡辺洋治氏が設計した建物です。先日、この建物のリニューアルを機にオープンハウスが行われていたので、見学に行きました。軍艦がモチーフになった独特な外観の建物です。

この建物は、独特な外観ばかりが注目されますが、工業化工法によって都市に高層住宅を構築しようと試みた力強い建築です。こうした試みには、計画当時、都市への人口集中や土地不足等により高層・高密化が進んだという背景にあります。

渡辺洋治氏は、鉄のフレームの中に鉄の住戸ユニットを組み込み、これが災害などで不具合が生じた場合は、ユニットを組み替えられるというシステムを構想していました。しかし、ニュースカイビルでは住戸ユニットを独立して組み込むことはできず、耐候性鋼をつかった鉄板外壁ユニットのみとなっています。配置計画では、単にユニットを横に並べるのではなく、雁行させて繋げることによって日照条件やプライバシーが配慮されています。

こうして、鉄のスキンによる雁行した建物が、間口が狭く細長い敷地に建設されたことによって船の尖端を彷彿とさせる形状になっていったのではないかなと思います。

これは、余談ですが、兵庫県にある芦屋浜高層住宅(ASTEM共同企業体/1979年竣工)でも工業化工法の試みとして鉄骨のメガフレームにPC工法により4層分の住宅ユニットを組み込んだ建物があります。途中階には半戸外の共用広場があり、こちらもなかなか見応えのある建物です。



ところで、この建物は現在リノベーションをして、シェアハウスやSOHOとして利用される予定になっています。上層階のシェアハウスは割りと広い個室を持ちながら、共用階には、キッチン・リビング・ダイニング・シアタールーム等かなり充実した共用空間があります。個室には、キッチンや浴室は設置されていないのでここに住む人はなんらかの形でこの共用空間で過ごすことになります。一人暮らしで一般的な集合住宅で生活していると両隣の人ですらも交流がない可能性もありますが、こうしたシェアハウスでは自分と廻りで生活している人との距離に選択肢があるというところが、住まい手の生活を充実させるきっかけとなる面白い計画だなと思います。

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シェアハウスの共用階


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