1970〜80年代に建てられた大規模団地では核家族を想定した2DKタイプのプランが多く年齢層が偏りやすい傾向にあり、当時からの住まい手の高齢化が進んでいます。また新たな住まい手として借り易さと環境の良さから子育て世代が住む傾向もあり、その両者の二極化が起こっています。こうした状況下で単身高齢者のコミュニティづくりや子育て支援が求められるのは当然のことであり、現在の社会の大きな課題です。
私たちはこの担い手として若者を集め地域と結びつけることが必要だと考えました。そこで着目したのが大学が行なっている地域社会活動です。例えば足立区と東京芸術大学音楽学部は共同で「音楽教育支援活動・福祉と子育て支援事業・芸術によるまちづくり事業」を行なっています。こうした活動に興味をもっている大学生が集まり、主体的にプロジェクトを実践し運営していくのが「団地大学」というモデルです。
具体的には老朽化した団地をリノベーションし下層階をコミュニティの場として地域に開放、上層階をシェアハウスとして集まった学生の住まいとする計画を考えています。団地の下層階をコミュニティの場とすることでその周りの豊かな緑地環境を有効利用することもできます。
大学側は意欲的な人材を集め地域とつながる社会貢献活動を実践出来るというメリットがあり、学生は家賃の優遇や施設利用というメリットを想定、また貸主は大学からの安定した家賃収入が得られるという三者にメリットがある仕組みです。
社会が抱える福祉課題は戦後作られた住宅というハードが作り出した課題でもあります。今後そのハードを如何に見直していくかはとても重要であり、そのひとつとして「団地大学」というモデルを考えています。まだ実際の計画はありませんが今後実現に向けて考えていきたいと思っています。
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