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2013年6月18日火曜日

ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイを見て


おもてなしと遊び心で社会を変えたデザイナー

 
シンプルで洗礼され遊び心がある。そんな印象で大好きなデザイナーだが、概念的で哲学的なデザイナーであったことをこの映画で知った。例えば有名なイームズチェアではたくさんの人の座った体型のサンプリングをとり、全ての人が座り心地の良い形を模索している。近代化、大量生産、軽量、低価格の時代にあって、その技術だけで終わるのではなく人と技術を結びつけ、時代の空気感を表現し、民主化を表現していたのではないだろうか。他に印象的なのは冷戦時代にモスクワで開かれたアメリカ博覧会の映像製作「アメリカの一日」である。高速道路や星空や街の灯りなど普遍的なアメリカのランドスケープとアメリカ人の日常生活を映し、お互いの国が何も変わらないことを表現している。そして最後のチャールズは飛行機の映像にしようとしたが、レイがロケットを意識させるからと止め、わすれな草の花の映像で終わっているところが感動的である。軍事力を示すのではなく友好の花を示したのではないだろうか。「Powers of ten」では数字を地理のスケールをに可視化するという方法で世の中の意味に迫っている。イームズの概念が良く表れた映像ではないだろうか。


もうひとつ感動したのは建築家としてのチャールズの姿勢である。家具や建物から映像や写真など様々な表現分野を横断するイームズであるが、建築家という肩書きはものの見方を示していると言っていたのが、今の自分のモヤモヤを吹き飛ばしてくれた。

また先見の目があり「フランクリンとジェファーソンの世界」展では膨大な展示と膨大な文章でNYのブルックリン美術館で大不評に終わるのだが、今のコンピューター社会であれば可能な展示であった。これが未来の展覧会を示唆したものであるのかどうかは定かではないが、IBMコンピューターの宣伝映像なども手がけていたイームズは時代を見ていたのは確かである。

先日見たカリフォルニアデザイン展と合わせて、アメリカの近代化や人口増加、冷戦時代とミッドセンチュリーデザインがいかに対応しているかが良くわかった。私たちはふたりのイームズの概念と厳しい時代でも楽観的で遊び心を忘れないところを継承し、今の時代と未来を考えてデザインをしなければいけない。

早川 慶太

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