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2012年2月1日水曜日

住まいの音響1 調音パネル

以前、リノベーションした「オトと暮らす家」から音響についてちょっとお話したいと思います。このプロジェクトは、高層マンションの上層階にある住戸で、晴れた日には富士山が見える羨ましいほどの景色がみられます、オーディオ好きのオーナーにとっては決して良い環境とは言えない状況でした。高性能なスピーカーを持ってはいたものの、規格化された住宅では音響に対する配慮がされていないので、オーディオの能力を十分に発揮できる環境ではなかったからです。

住まいの音響と聞くとシアタールームやオーディオルームのような有孔板や吸音効果のあるグラスウールを布で包んだ調音パネル(吸音パネル)で構成された専用ルームを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、このような専用ルームにこもって音楽を聴くのではなく、生活とともにある音楽があるような暮らしがしたいというのがオーナーからの希望でした。






音には音源から直接到達する直接音と壁に反射して到達する反射音があります。音は反射を繰り返すと音が干渉しあって余計な響きが聞こえてきます。それを抑えるため、調音パネル(吸音パネル)を利用して反射する音を抑えます。しかし、あまり吸音しすぎると響きが悪くなってしまうので物足りなくなります。こういったことから、室内音響をつくるには反射と吸音のバランスが大切になってきます。

このリノベーションでは、そういったことを考慮して普段多くの時間を過ごすリビングルームでいかにインテリアに音響の要素を組み込みながら部屋の響きを整えるかということでした。その中の一つとして、吸音と反射のバランスをどのようにコントロールするかということが非常に重要になってきました。そこで、収納の扉を利用して簡単に調音パネル(吸音パネル)が取り外しできる仕組みを音考えました。実は、収納は鋼板の入った扉になっています。それをマグネットのついた調音パネル(吸音パネル)で固定できるようにしてあります。そして、インテリアに溶け込むだけではなく、簡単に脱着できることによって音楽のジャンルによって吸音と反射をバランスを変えられます。また、そのことによって壁の表情も変わっていきます。

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photo:ナカサアンドパートナーズ

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