design unit BO5

studio BO5 一級建築士事務所の建築、デザイン、住まいなど日々思ったことを綴ったブログです。
建築設計などのご相談は、e-mail: bo5@live.jpよりご連絡下さい。HP : http://www.booooo.jp

2012年2月6日月曜日

住まいの音響2 天井


先日、書いた「住まいの音響1 調音パネル」の続きで、天井についてお話します。前回は、音響の吸音と反射のバランスについて書きましたが、もうひとつ、音響を考える上で重要な項目として定在波をなくすための工夫が必要になります。体育館などで手を叩くと、よく「ビ~ン」という耳障りな高音が聞こえる体験をしたことがある方も多いと思いますが、これが定在波です。

定在波でよく言われるのが、対面する壁が平行な場合、音が繰り返し反射して起こるため、壁を斜めにする等して乱反射させるか、吸音することによって発生させない工夫をします。しかし、壁以外にも定在波が現れやすい部分はあります。それが、天井です。特に天井のコーナー部分は、音が複雑に反射し、入り乱れることによって、音が濁ったり音抜けが悪くなります。

今回のリノベーションでは、こうした天井のコーナー部分に発生しやすい定在波を極力抑えるため、天井部分に極力、入隅ができないように、R天井とすることを考えました。部屋の真ん中には、高層住宅といわんばかりの大きな梁が通っていましたが、R天井にしたことによって緩やかに空間がひと繋ぎに感じるような効果もでました。R天井も、職人さんの苦労かいあって、綺麗に施工できました。

今回のリノベーションは、子供が独立し夫婦2人が生活する場として、音楽鑑賞が好きなご夫婦のために暮らしの中にいかに音環境を取り込むかということがテーマでした。環境は、常に人や状況によって変化していくものなので、規格化されたものではなく、それに柔軟に対応できるデザインを目指すことによって、住まい手と暮らしの間に新しい関係性が生まれることを期待します。


by design unit BO5 : http://www.booooo.jp/
photo:ナカサアンドパートナーズ(左)



0 件のコメント:

コメントを投稿